子育て・しつけ

子どもを交通事故から守るには

特集/子どもを交通事故から守るには

子どもを交通事故から守るには

安全の意識は日常生活の中で育つものです

 新入学を控えた年長さんの親がいちばん心配しているのは、登下校の際の安全ではないでしょうか。入学前には、交通安全を教える講習会がにわかに増えます。でも、安全教室を開催して、信号の見方や横断歩道の渡り方を教えるだけで、子どもが理解すると思ったら大間違いです。幼児期の安全教育のベースは3つ。これに尽きます。
 (1)根気よく、繰り返し指導すること
 (2)大人がよい手本になること
 (3)子どもの自立体験を増やすこと
 日常生活の中で繰り返し教え、習慣として身に付けさせることが大切です。
 年中さんや年少さんのママの中には「うちの子はまだ関係ないわ」と思っている人もいるかもしれません。それは考え違いというもの。交通安全に限らず、子どもに、危険を予期して回避する力を身に付けさせたいと思うなら、毎日の生活こそが大事なのです。
 

幼児期の発達過程を理解して、ゆっくり自立させましょう

 そのためにも、子どもの発達の実態をしっかり理解しておかなくてはなりません。
 人とのかかわりの側面からみると、幼児は大人への依存度が極めて高いと言えます。ママと手をつなぎ、先生に付いていけば安全ですから、極端な言い方をすれば、自分で危険を察知する必要など感じていません。同時に、友達やそばにいる人につられて行動することが多いのも特徴です。依存から、自分で考えて行動できるよう自立させるには長い時間がかかります。いくら標識を覚えさせても無理なのです。じっくり付き合って、自分で考える機会を用意してやる必要があります。
 また、身体的な面からも、幼児の行動には特徴があります。頭部の比重が大きいので、幼児の重心は高い位置にあります。そのため、転びやすく、歩道橋の手すりから下をのぞいたりすると落下しやすいのです。さらには、手先が器用ではなく、機敏に動くことができません。平衡感覚も未発達ですから、縁石の上などを歩いて転ぶこともあります。
 最も大きいのは、視界の差です。大人が見ている景色と幼児のそれとは異なります。視界が狭いので遠くの車は見えませんし、高い位置で合図しても子どもには見えていないということがよくあります。
 こうした子どもの状況を、大人はよく理解しておかなくてはいけません。

原本憲子(はらもと・のりこ)先生

お話を聞いたのは

原本憲子(はらもと・のりこ)先生

聖徳大学大学院教職研究科准教授。
長年、幼稚園教諭、園長を務めたあと研究生活に。
安全教育、危機管理の分野で文部科学省、総務省などの委員、ワーキンググループメンバーを歴任。

子どもを 交通事故から 守るには

子どもを交通事故から守るには

子どもの遊びの特徴を知り、危険を回避しましょう

 さらに、知的発達の面からみても、子どもは、興味のないことは意識に残らず記憶しにくいという特徴があります。もちろん、危険を予知する能力は備わっていませんし、自分が体験したことでない限り、理解するのが難しい。「分かった?」に「うん、分かった」と答えても、本当に理解しているとは限りません。「だから、言ったでしょ!」「何度言ったら分かるの!」という言葉は無意味。子どもの「分かった」は、理解しているということとは違います。
 例えば、幼児は物陰や狭い隙間に入って遊ぶのが大好きです。外でダンボールに入って遊んでいて車にひかれた、まさかという事例もあります。幼児には、自分のしていることがどう危険なのか分かりません。こうした幼児の遊びの特徴も、大人はしっかり知っておく必要があります。
 危険や恐怖に対して臆病ではあるものの、何が危険につながるかを認知できないのが幼児の特徴です。さらには、興味のあるものに注意が奪われてしまうと、それ以外のことは目に入らなくなるのも特徴。大人は、こうした子どもの特徴をよく理解して、何がどう危険なのかを、具体的に伝える必要があります。

道路は“生もの”地域の事情を知りましょう

 子ども自身のことを分かったうえで、次に、子どもを取り巻く環境はどのようなものかをしっかり頭に入れておきましょう。
子どもが普段通る道に信号機や横断歩道があるとは限りません。道路の事情は地域によって異なりますから、子どもに画一的な交通ルールを教えるだけでは、理解も応用もできません。
 私道を車がよく通る、踏切がある、車が全く通らない道路があるなど、地域によって事情はそれぞれ。専有の広い遊び場のある団地などで育った子どもには、敷地内の遊歩道と公道の違いをしっかり教えておかなければいけません。「信号は手を挙げて渡る」「交差点では右見て左見てもう一度右を見てから渡る」など、いくら言葉で指示して覚えさせようとしても、実態にそぐわないところでは無力です。大人が地域の交通事情、道路事情をしっかり理解しておかない限り、子どもに危険を教えることはできません。
 また、道路は“生もの”です。工事をしていたり、雨や雪が降ったり、時間帯によっても、道路事情は大きく変わります。大人自身が、道路は刻々と変わるということを肝に銘じておきましょう。

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