子育て・しつけ

生活リズムを見直そう

特集/生活リズムを見直そう

前橋 明先生

お話を聞いたのは

前橋 明先生

早稲田大学教授・医学博士
早稲田大学人間科学学術院
健康福祉科学科
「いま、子どもの心とからだが危ない」「生活リズム向上大作戦」「幼少児のためのティーボールあそび」(いずれも大学教育出版刊)など、著書多数

特集/生活リズムを見直そう

1短時間睡眠と遅起き

 夜10時過ぎに就寝する幼児が50%以上という調査があります(※)。東京の区部では60%を超えたところもあります。かつては夜8時に就寝していましたから、生活時間が2時間は後ろにずれているわけです。ところが、登園時刻は昔と同じ。そこで生じることは、短時間睡眠と朝の支度時間の短縮です。
 ※前橋研究室調べ 全国の3歳~6歳児を対象に2007年調査

2不十分な朝食と朝の排便なし

 朝の時間がせわしいと朝食がしっかり取れませんし、欠食したり、食事内容が貧しかったりすると排便を促すことができません。食事の良い悪いの評価は排便に表れます。排便には、大腸内を満たすだけの残りかすが必要ですが、おざなりの朝ごはんではそれだけの体積と重さが不足してしまうのです。ちなみに、私が5歳児を対象に調査したところ、「朝ごはんは食べていますか?」には85%がイエスと答えましたが、朝の排便があるのは、「毎日」と「ほぼ毎日」を合わせても30%に過ぎませんでした。朝ごはんを食べたかどうかだけでなく、朝、排便があるかどうかを尋ねたほうが実態がつかみやすいということでしょう。

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3体温調節の乱れ

 不十分な朝食が問題になるのは、排便のことだけではありません。朝食が少なければ昼食をしっかり取ればよいと思うかもしれませんが、それでは生体リズムを乱すことになるのです。
 生体のリズムは体温に表れます。夜、眠っているときは「メラトニン」というホルモンが分泌されて、脳内温度を下げ、脳や体を休めてくれます。明け方から「コルチゾール」や「β -エンドルフィン」というホルモンの分泌が促進されて体温を徐々に上げ、活動開始を促します(グラフ1)。
 早寝・早起きができない子は、この体温のリズムが乱れていたり、ずれたりしていると言えます(グラフ2)。私の調査では、近年、朝9時の体温が36度台より高かったり、低かったりする子ども(4〜5歳児)が、合わせて約3割ほどいることが分かりました。
 夜、体温が下がらないとなかなか寝付けませんし、朝、体温が上がらないと活動できません。人間の生体リズムは、太陽が出ているときに体温が上がって活発になり、太陽が沈んで夜になると体温が下がりはじめ、眠りにつくようにできています。
 もちろん、夜中でも光の刺激があふれる現代社会では、太陽とともに暮らすことは難しくなってきました。しかし体力のない幼児期には、自分の体を自動的に守ってくれる脳や自律神経の働きをよくすることが大切で、そのためにも、できるだけ人間本来の生体リズムに沿った生活が必要なのです。

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4午前中の活動力の低下

  なにより朝食には、睡眠で低下した体温を上げ、体を活性化させるウオーミングアップの効果があります。朝食が十分に取れないまま登園すると、午前中の活動を支えるだけのエネルギーが不足します。朝食を抜くと脳が栄養失調状態になり、集中力に欠けたりイライラしたりすることにもなるのです。
  また、朝の排便がないまま登園すると、遊んでいる最中にトイレに行きたくなったり、昼食後にもよおしたり。これでは〝集団あそび〞からはずれてしまうことになります。

5昼間の活動量の低下

 体温リズムが崩れて、午前中にあまり動けず、降園後の3時から5時の最も体温が高く活発に遊べる時間に、室内でテレビを見たりゲームをしたり。これでは、夕食時にお腹がすくわけがありません。夕食の時間にしっかり食べられず、夜遅くにお腹がすいて夜食を食べたりすることにもなってしまいます。また、遅く帰ったパパの夕食に付き合うこともあるとすれば、エネルギーが充満して眠れるどころではありません。

6就寝時刻の遅れ

  そして、夜10時を過ぎても寝付かない遅寝になり、①の短時間睡眠へとつながる悪循環が完成してしまいます。
  「休養」「栄養」「運動」はすべてが密接に連関して一日のリズムを形成しています。どれか一つが崩れると、悪循環に陥ってしまいます。体温異常は、このリズムの乱れを示しているのです。

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