小学生ママ

非認知能力を育てよう!磁石のしくみ、どう考える?

小学校3年生では磁石の学習をします。新しい教科書を見てみると、磁石の性質についてはていねいに説明されていて、わかりやすい内容になっています。磁石の性質については理解ができますが、「そもそも磁石って何だろう」という本質的な問いには答えていないのです。今回は「物事の本質を考える」ということを語りたいと思います。

1. 「磁石」を半分に折るとどうなるだろう?

3年生の理科で「じしゃくのふしぎをしらべよう」という教材があります。学習指導要領第3学年には、「磁石につく物や、磁石の働きを調べ、磁石の性質についての考えをもつことができるようにする」というのが目標です。ここでは、物には磁力に引きつけられる物と、引きつけられない物があること」「磁石に引きつけられる物には、磁石につけると磁石になる物があること」「磁石にはN極とS極があり、異極は引き合い、同極は退け合うこと」の3つを理解させることが中心になります。

さて、ここで問題です。

磁石を半分に折ると、どうなるでしょう?

磁石を半分に折ったとき、N極とS極がどのように変化するかをクラスの子どもたち(33人)に聞いてみました。「折れたところは何極になる?」手をあげてもらったところ、次のような人数なりました。

(ア)N極の折れたところはS極に、S極の折れたところはN極に変化し、引き合う:11人
(イ)N極の折れたところもN極のまま、S極の折れたところもS極のままで、引き合う:18人
(ウ)磁石ではなくなり、くっつかない:4人

授業の中でどうしてそう考えるのか、子どもたちに予想をしてもらい、その理由を聞いたところ、次のようなものが出てきました。

(ア)の考え
・折っても、磁石はNとSになると思うから
・折ったのだから、ひとつの磁石になると思う

(イ)の考え
・半分に折っただけだから、極は変わらない
・これでも折れた物はくっつくと思うから
・磁石が電気だとしたらつかないけど、磁石は折っても使えるから

(ウ)の考え
・S極とN極があって磁石になる。半分に折ったら、磁石じゃなくなると思う

2. 考え方を図に描いて考えてみる

こうしたことを実験していきながら、「どうしてこうなるのか?」を考えさせました。すると15種類もの考え方が出てきたのです。特に多かったのがサンドイッチ型です。

子どもたちは、図に描いたそれぞれの考え方を説明していきます。そして現象と矛盾していないかどうかを、お互いに考えあっていくのです。例えば上の「サンドイッチ型」の時には、「SとNが互い違いになっているというけど、その切れ目で切れるとはかぎらないのでは?」という具合に、考えあっていくのです。そして、お互いの意見を十分出しあったあと、どのようにしたら正解にたどりつくかを考えました。

すると、ある生徒から「磁石を粉々にしてみたらいい」というアイデアが出されました。磁石をビニール袋に入れて、トンカチでたたいて磁石を粉々にしました。すると粉々になった小さな磁石にも、N極とS極があることがわかりました。

そして下図にあるように、「磁石はN極とS極のある小さな粒が集まり同じ方向に並んだものだ」ということを理解することができていったのです。

このひとつひとつの粒が、N―Sという形になっていれば、どこを切ってもN極とS極になることがわかっていったのです。

「問いと答えの間(ま)」にこそ、本当の学びがある

実は、こうした正解に到達するまでの過程が、今の子どもたちの学びにとっては、とても大事なのです。私は学級通信で次のように書きました。「ヘタクソでもいいし、不十分であってもいいから、まず自分で考えてみることが、とても大切だし、本物の学力をつけていくことにつながっていくのではないかと思うのです」

教科書だけで教えるのではなくて、生活認識から出発する考え方、生活の中で学んだことを大切にして、より深い学びにつなげていくことが、求められているのではないでしょうか。
今は「問いと答えの間(ま)」をいかに短縮し、効率よく答えを出すかが求められています。それでは、本当の学力は育ちませんし、「非認知能力」も育ちません。「非認知能力」を育てるのは、「問いと答え」の間を豊かにし、学びの深さを体感するという体験なのです。

 
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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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