小学生ママ

怒りにとらわれると、まわりが見えなくなる小3の息子、どうしたらいい?

怒りにとらわれ、担任の言葉にもイラつくわが子。気持ちを抑えるためにどう伝えたらいいのでしょうか?


小3男子です。一度、怒りにとらわれると、気持ちを抑えられず、その後の授業が受けづらくなります。例えばですが、息子はサッカーを習っています。サッカーの授業で、きちんと見ていなかった女性担任の間違った審判に異を唱えましたが、聞き入れてもらえなかったため、出されていたボールをすべて蹴り散らかしました。担任の「イライラしてもいいけど、ものにはあたらないでよ!」の言葉に、さらに怒りが増し、コーンをすべて蹴り倒しました。校長先生に「担任の審判が間違っていても、担任のほうが年上なのだから…」と諭されても、釈然とせず…。校長室で、体育後の2時間を過ごしたとのことでした。
怒りの静め方として、呼吸の練習を秋から母子で行っています。また、息子の主張が正しいと感じたときは、息子に「あなたの主張は正しい。ただ言い方が間違っているとお母さんは思うよ」とも話します。これからを考えると、どう対処するのが彼にとってベストか手探りの毎日です。(かんちゃん)
自分が正しいから、怒るのです!


お子さんは、サッカーを習っていますよね。そうなると、ある程度サッカーの技術も身についているだろうし、ルールもよく知っているはずです。たぶん、女性担任よりもサッカーをよく知っているに違いありません。

きちんと見ていなかったし、間違った審判を下したのですから、異論を唱えたくなったに違いありません。校長先生の「年上なのだから…」という言葉にも、「年上だからといって、間違っていることを認められない!」という釈然としない思いが残ったことでしょう。

相談者さんは、怒りの理由を聞いていますし、怒っている理由が正しい場合には、認めてあげていますよね。とても素晴らしい対応だと思います。しかしながら、自分の意見が聞き入れられなかったからといって、ボールを蹴り散らかしたり、コーンを蹴り倒すのは、やり過ぎといわざるをえません。

世の中には、理不尽なことがたくさんありますし、社会に出れば、自分の意思とは違うことを押しつけられることもあります。そのたびに怒っていたら、人間関係を築くことはできません。自分の正しさに、固執しすぎてしまってはいけないのです。やはり、相談者さんがいっているように「相手に伝わる言い方」をするべきなのです。

「相手に伝わる言い方」とは?
それでは、「相手に伝わる言い方」とはどのようなものでしょうか。例えば、サッカーの時に、次のように言ってみたらどうでしょうか。「その審判は、おかしいと思います。でも、僕も友達にきちんと言えばよかったし、最初にルールをきちんと確認すればよかったとは思っています」と。自分が絶対正しいという言い方を避けることがポイントです。

もし言い分が正しかったとしても、「自分が絶対!」という言い方をされると、人間というのは受け入れられないものなのです。学校というのは勉強だけでなく、人間関係の作り方を学ぶ場所でもあるのです。ですから、相手が受け入れてくれる言い方を練習する絶好の場として考えてみてほしいと思います。

次に「この点について、僕は違うと思うけど、○○ちゃんはどう思っている?」という形で、結論を相手に任せるということです。自分の思ったような回答を引き出したかったら、相手に考える時間と余裕を与えなくはダメなのです。とにかく、相手の言い分を大切にすることが、自分の意見を大切にすることにつながることを、しっかりと分からせることが必要です。

ネットいじめが蔓延する理由
最近は社会全体に「批判したもの勝ち」という雰囲気が広がっているような気がします。もちろん、間違ったことに対して批判することを否定するものではありません。しかし、そうした雰囲気が、子どもたちに大きな影響を与えているのではないかと思っています。

例えば、ネットで、「どうしてそこまで」と思えるような誹謗中傷に満ちた書き込みを見かけることがあります。こうした書き込みに共通していることは、自分の意識・欲望だけをよりどころにして、他者の気持ちをまったく考えないということです。つまり、自分の意識の中に「他者」が形成されていないということです。

東京都教育委員会の「平成29年度 いじめの認知件数及び対応状況把握のための調査」によると、PCや携帯電話によるいじめは、小学校では0.75%(70件)、中学校では10.3%(228件)、高等学校・中等教育学校では34.5%(19件)という結果でした。

割合では高等学校が一番高いのですが、中学生の件数が飛び抜けて高くなっています。小中学校でいじめが多発しており、ネットいじめは中学生で起きることが多いのです。なぜ中学生はネットいじめをするのでしょうか。

それは「匿名性は攻撃性を高める」からです。心理学者ジンバルドーの実験によると、没個性化され、匿名性が高い状況に置かれると、人は攻撃的かつ、暴力的になるそうです。ある中学生は、ネットの匿名掲示板に暴力的な内容を繰り返して書いており、「書くとすっきりするし、盛り上がるので楽しい」と言っていました。

かつてのいじめは、面と向かって相手を殴ったり、本人に直接悪口を言ったりといったものでした。そのため、殴ると自分も痛いし、相手の傷ついた様子から、自分がした行為の結果が目に見えていました。しかし、インターネットでのいじめは、相手の顔が見えませんし、他人を傷つけても、傷ついた相手の顔が見えないため、相手の傷つき具合が分からないのです。

「自分の中に他者を取り入れる」。つまり「他者の視点を自分の中に取り入れる」ということが大切になっているのです。相談者さんのお子さんに限らず、こうした社会的風潮が子どもたちの攻撃性を高めているような気がして仕方がないのです。

かわいがられる子どもに
親なら誰でも、「わが子がたくさんの人にかわいがられてほしい」と思うものです。正直、こうした攻撃的なお子さんは、担任の先生にかわいがられるとは思えません。子どもは、さまざまな大人にかわいがられることで、心が豊かになるのです。相手に伝わる言い方を教えることだけでなく、「たくさんの人にかわいがられることが、あなたの得につながるのよ!」と伝えてもいいのではないでしょうか。かわいがられる子どもに育てていくことが必要なのです。かわいがられた子どもは、寛容性を身につけます。その結果、たくさんの友人を手に入れることができるのです。

私の友人で、静岡県の保育園の園長をしている人がいます。この人は、「一度でも会った人は、俺の友達」と言っています。実際、知り合った人をとても大事にします。その人は、たくさんの人にかわいがられた経験をしています。人間は、何事も学ばなければ身につかない存在なのです。「かわいがられる」という経験が積み重なることで、「かわいがる」ということができるようになるものなのです。

 
【新刊】
新刊「『いじめ・自殺事件』の深層を考える-岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として-」(本の泉社、1620円)発売中。

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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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