小学生ママ

学習に集中できず、空想の世界に行ってしまうわが子、どうしたらいいの?

探究心旺盛なのに、単純作業に集中できません。どうしたらいいですか?


小3の男子です。 探究心、好奇心が旺盛で、本を読んだり、興味のあるテレビ番組を見たり、遊び(特にレゴ®)のときは、ものすごい集中力を発揮するのですが、 そろばんや漢字の書き取りなど、単純な作業になると集中力が続かず、手が止まって、まったく違う空想の世界に行ってしまいます。学校の授業も退屈なようで、気がつくと体が横を向いていたり、違うことをしていたりして、注意を受けているようです。
タイマーを横に置いて、時間を気にして勉強させるようにした方がよいでしょうか。(めい)
発達とは「プラスとマイナスの力のせめぎ合い」です!


子どもの発達は、円のように丸く、まんべんなく発達していくものではありません。どの力も均一に発達し、いろいろなことに集中して取り組むことができる、そんな子は、理想の中にしか存在しません。

実際の子どもの発達というのは、いびつな形なのです。まさにコンペイトウのように、あちこちがとがったり、引っ込んだりしているものなのです。私たち大人も丸く発達し、さまざまなことに対応できているわけではないのです。社会的な経験を積んでいるから、その場に応じた対応を学習していく中で、一見上手く立ちまわっているように見えるだけなのです。苦手なことや、できないことがあるのが人間という存在です。そうした違いは、人間の多様性につながっていて、そのことが、人間社会が発展していったひとつの要因でもあるのです。

発達心理学者として有名なエリクソンが、「心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)」を提唱しています。簡単にいうと、「人の一生には8つの発達段階があり、それぞれの発達段階には、成長や健康に向かうプラスの力(発達課題)と、衰退や病理に向かうネガティブな力(危機)がせめぎ合っていて、その両方の関係性が人の発達に大きく影響する」というものです。

つまり「人生は、つねにプラスの力とマイナスの力のせめぎあいである」ということです。

人間は、プラスの力がマイナスの力より強くなることで、社会に適応した健康な発達を遂げていき、社会性を獲得していきます。だからといって、マイナスの力がプラスの力より強くなると、必ず人生がうまくいかないわけではないし、プラスの力が一時的に強くなればよいわけでもないのです。

プラスの力とマイナスの力は、人生のすべての段階でせめぎ合いを続けていて、各段階において両者のバランスをうまく保ちながら、プラスの力がマイナスの力より強くなるような経験を積み重ねていくことが大切だということです。

「非認知能力」を育てる
以前「子どもの非認知能力を育てよう」という記事を書きました。

その記事で、私は「認知能力」はIQや学業達成など、学力テストなどで測定可能な能力のことで、「非認知能力」は自制心、勤勉性、外交性、協調性など、そのほかの要素を示すとお伝えしました。

相談者さんのお子さんは、小3の男子ですが、 興味のあることに対しては、本を読んだりテレビ番組を見たり、遊びなどで、ものすごい集中力を発揮するのですから、すばらしいと思います。

まさに「非認知能力が育っている」ときなのです。興味のあることに対して、徹底的に調べてみる、こうした時期が、子どもにはとても必要です。小3は、自分の興味のあることに熱中する時期です。そのことを、まず認めてあげることが必要です。

今の子どもたちのほとんどが、「学びが役立っていない」と感じています。それは、学校の学び自体が、子どもの興味や関心を引かない、あるいは興味を引きつける工夫がなされていないことが大きいと思います。

興味あることから必要性へ
私が担任した子どもで、鉄道にすごく興味のある子がいました。首都圏の鉄道の接続や、駅名などは全部覚えていましたし、本の時刻表を見て、どのコースが最短コースかなどもわかる子どもでした。

その子は、そのあと列車のスピードに興味をもち、新幹線のスピードと、普通列車のスピードの違い、新幹線の列車の仕組みも調べ始めました。その結果、小学校で理解が難しいといわれている「時速と時間」なども、難なくクリアしていきました。その後も、その興味は中学生ぐらいまで続き、結果的には難関私立大学の機械科で設計をしています。

いびつな学習状況かもしれませんが、大事なことは、興味や関心のあることを大切にしながら、そこを基礎として、さまざまな知識につなげていくことです。子どもは、そうした積み重ねによって、「深く学ぶこと」や「知識を広げていくこと」の面白さを知っていくのです。

大事なポイントは、興味あることにつながるさまざまな知識にアクセスするように、親が材料を用意してあげたり、何気なく一緒に学んでみることです。ただし、親が強引にさまざまな知識につなげようとするのは禁物です。

子どもは大きな可能性を秘めています。いびつな発達の時期が必ずあります。それでよいのです。ゆったりとして、子どもの興味あることを、一緒に楽しんでみて下さい。親が学ぶことの楽しさを共有してくれることで、子どもの興味・関心は、ますます深まっていくものなのです。

 
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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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