小学生ママ

習った漢字をすぐに忘れ、読むことができない小2の息子、どうしたらいいの?

習った漢字が読めない息子、スラスラ読めるようになる方法はありますか?


小2の男子です。漢字がなかなか覚えられません。漢字の書き取りの宿題には取り組め、漢字の小テストなどは7~9割ぐらいの出来です。しかし、テストが終わるとほとんど覚えておらず、教科書の音読では、習ったはずの漢字が読めず、内容の理解があいまいです。読み仮名を振れば、読めるし、内容もわかるようです。テストの問題文に漢字が使われていると、質問の意味が理解できず、回答が書けないので、毎回50点くらいになってしまいます。
テスト問題に読み仮名を振ってもらったりしてもよいものでしょうか? また、漢字がスラスラ読めるようになるよい方法があれば教えてください。体を動かして遊ぶのが好きで、あまり読書習慣がないのも問題かなとは思います。(ぴっころりん)
学習障害(LD)の可能性があるのでは…


漢字の書き取りに真面目に取り組み、小テストで7~9割が書けるのですから、知的な遅れはないと判断してよさそうです。ただ、「習った漢字をすぐに忘れてしまう」「漢字が定着しない」「教科書の音読で習ったはずの漢字が読めない」などといった様子から考えられるのは、学習障害(LD…Learning Disorders)の可能性があるのはないかということです。

LDの症状は大きく分けて、1. 読むことが苦手、2. 書くことが苦手、3. 聞くこと・話すことが苦手、4. 計算や推論が苦手の4つがあります。

具体的には、「読むときに意味で区切れない」、「漢字のへんとつくりを間違える」、「聞き間違いが多い」、「指を使わないと計算ができない」などといったことがあげられます。まずは、お子さんがLDなのかどうかということは、相談を読んだだけでは判断できませんので、専門のお医者さんに一度診断してもらうことが必要です。

そして、もしLDだったとしても、必要以上に考え込む必要はありません。障害の特性に合わせた対応をしていくことで、伸びていくことができるからです。実際に、私の大学にもLDの学生が入ってきていますし、ほかの大学にもいます。

有名人・著名人のLDにまつわる幼少時のエピソード
映画「トップガン」「ミッションインポッシブル」で有名なトム・クルーズ。彼は難読症というLDです。台本は人に読んでもらって丸暗記するという話を聞いたことがあります。トム・クルーズは学校の頃、bとd、pとqの区別ができませんでした。また、行を飛ばすなどして、教科書をうまく読むこともできなかったそうです。そして高校までLDのための特別学級に入っていました。友達からいじめにあったこともあるそうです。「ほかの友達のように、本がスラスラ読めたり、集中力があったらどんなにいいだろう」と、いつも思っていたと彼は言っています。

しかし努力家の彼は、得意だったスポーツには何でも挑戦し、自分の弱点を補うための集中力も鍛えました。俳優の試験に合格してからは、セリフをゆっくり読んで覚えながら、じっと考え、役のイメージを膨らませるようにしました。弱点を逆に長所にしようと、ほかの人とは違った工夫をしたのです。

また、発明王といわれたトーマス・エジソンは、小学生の頃、少しも先生の言うことを聞かなかったそうです。みんながあたりまえと思っていることが気になって仕方ないからです。たとえば授業中「Aはなぜエー(A)と読んで、ピー(P)とは読まないのですか」などと質問をするのです。あまりに「なぜ?」「なぜだろう?」と聞くので、授業が進みません。ある時、級友の前で先生から「君の頭は腐っている」と言われ、教室を飛び出し、二度と学校へ行かなくなったそうです。エジソンの書いた手紙が残っていますが、スペル間違いが多くあります。あのエジソンも文を書くことは苦手だったようです。今の学校にいれば学習障害といわれたことでしょう。

相対性理論を確立し、物理学に貢献したアルベルト・アインシュタインは、子どもの時、言葉が遅く、3歳になっても言葉を話さず両親を心配させました。やっと話せるようになってからも運動が嫌いで友達と遊ばず、ひとりで遠くから見ているだけでした。語学が苦手で学校の成績もさっぱりでしたが、数学だけは抜群で、先生からは「数学ができるのだから、ほかの科目もできるはず。怠けているに違いない」といわれたそうです。大学の入学試験では、数学以外の科目のせいで合格できず、無試験で入れる大学に入学しました。アインシュタインもやはり、学習障害だったといわれています。

日本の俳優や科学者の中にも、LDだった人がいます。また、小さいときから機械いじりが好きでコンピューター技師になった人、工作が好きで大工になった人、料理が好きでコックになった人など、社会に出てさまざまな職業につき、活躍している人がたくさんいます。こうした人々に共通していることは、苦手なことはあったけれど、好きなもの、得意なものを見つけ、目的と自信をもって頑張ったということなのです。

LDの中のディスクレシア(難読症)かもしれません
「難読症」や「識字障害」とも呼ばれるディスレクシアは、知的能力や理解能力に異常がないにもかかわらず、文字の認識に困難を抱える学習障害です。読み書きだけでなく、文字の発音や理解にも困難を要します。そして驚くべきことに、程度の差こそあれ、人口の1割程度が何らかの形でディスレクシアを抱えているといわれています。

小学校に入って困ることの筆頭に、「漢字をノートに〇回ずつ書いてくる」という宿題があります。発達障害の子は、空間認知や図形の理解、バランス、同時処理能力(書きながら覚える、手と脳の協調)などの脳機能的にアンバランスさがあるのです。「きちんと綺麗に書きなさい。なぜ毎回、書いても覚えられないの!」というのは、無理な要求なのをわかってもらいたいと思います。

漢字を覚えるための工夫
これから紹介する方法は、LDの子どもだけでなく、どの子どもにも有効な方法なので、試してみてほしいと思います。

【1年生でのカタカナ習得が大事】
私が作成した教材『もじ かず ぽん』(日本標準 2018年)は、小学校1年生向けに作成した教材だったのですが、想像しなかった副産物が生まれました。それは1年生の教材なのに、特別支援学校からの問い合わせがあったことです。歌に合わせて文字を書くことが、子どもたちの実態に合っているとのことでした。実際に、特別支援学校に行ってみると、子どもたちがイキイキと取り組んでいる様子を見ることができました。

そして、特別支援学校の先生から言われたのは、「カタカナ編はないのか?」ということでした。「なぜカタカナ編が欲しいのか」を聞くと、「漢字習得に必要だ」というのです。

カタカナは、本来、漢字の一部を取り出したものです。どのようにして漢字からカタカナを取り出したのかが分かるように一覧表にしてみましたので、参考にして下さい。

いかがですか。漢字からカタカナができていることがよく分かるのではないでしょうか。つまり、カタカナをしっかり覚えることが、漢字を覚えることにつながるのです。

実際に、「カタカナをしっかり覚えている子どもは漢字習得が早い」のです。漢字の部分をしっかり書けることが、漢字習得につながるのです。この視点は、目からウロコでした。

1年生では、「ひらがな指導」はしっかりやるのですが、「カタカナ指導」は割と時間をかけないのではないでしょうか。カタカナ指導が漢字指導につながるのです。

【漢字を口で説明する】
「口で説明できるように」というのは、漢字の部分、部分を明確に暗唱するという方法です。

これも、特別支援学校の先生に教えてもらった方法です。漢字の「部位を暗記して口頭で言える」ように覚えるというやり方は、目が不自由な子どものために考えられた方法です。つまり、「漢字は、機械のように部品を組み合わせて作られているので、それを組み立てられるように、一つひとつの部品をまず正確に覚える」ということです。

例えば「水」の場合では、「カタカナのフを左に書く」、「真ん中に棒を立ててはねる」、「右側は、ななめ上から、真ん中の棒にあてて右下に水が流れるように書く」といった具合です。

ただ、この説明の仕方は、子どもによって変わってもいいのです。覚えやすい方法を、子どもと一緒に考えてみて下さい。

【大きな字を書いてから小さな字へ】
LDの子は、部分・部分がはっきりととらえられていない子がいます。ノートのマス目に書くのではなく、A5版位の大きさの紙に部分をしっかりみながら、大きく書かせてみてください。それから、少しずつ小さめの紙で練習し、最後にノートに書かせるのです。

その時に、分かる漢字の組み合わせで説明してもらいます。例えば、「聡」という字なら、「耳にハム心」という具合です。

これ以外にもあると思いますので、いろいろと工夫してみて下さい。発達障害の場合は、その特徴に合わせて手立てを考えていくことです。

 
【新刊】
新刊「『いじめ・自殺事件』の深層を考える-岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として-」(本の泉社、1620円)発売中。

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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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