小学生ママ

「ママがいないと寂しい」とワーママが言われたら?

フルタイムで働く自分。「寂しい」と小1娘が泣きます


今春から小1になった娘のことです。 私がフルタイム勤務のため、入学式前の4月2日から学童保育へ1人で通うよう頑張っていたのですが、入学式後1週間くらいで「ママがいないから寂しい」と学校で泣くようになりました。一緒に校門まで登校し、担任の先生に校門まで迎えに来てもらっていますが、登校中の通学路か、調子が良いときでも校門前で涙、授業中や給食の時間に泣くことも頻繁にあるようで、5月末現在、泣かなかった日は5日程度しかありません。校長先生からのアドバイスで母の写真入りのお守りを持たせたりしています。環境の変化に慣れるのに時間がかかるタイプなのかと思っていますが、どのように対応してあげるのが良いのでしょうか? 毎朝悲しそうに登校する娘を見るのがツライときもあります。 何かアドバイスをいただければ幸いです。 どうぞよろしくお願い致します。(くっちゃん)
寂しがるのは子どもとの関係がうまくいっている証拠


保育園や幼稚園でも、初めて登園するときは、どの子どもも緊張するものです。また、母親から離れるということなど、予想していません。小さいときから面倒を見てくれていたし、これからも面倒を見てくれるし、ずっと一緒にいると思っていた存在。それが、母親です。それが急にいなくなるのですから、大泣きするのも当然ですし、例えそれまで園に通っていたとしても、新しい環境の場合、心細くなります。男の私から言うのもなんだかくやしいのですが、子どもは母親との愛着関係を基礎として、父親・保育者・養育者と身近な人間関係を広げていきます。あくまでも、母親の次の存在なのです(いわば、付け足し?)。その後、教師・援助者・大人と広げていき、最後に友人へと広がります。

「乳幼児が不安を感じたときに、母を求め、母に抱かれることで安心が得られる関係性のシステム」を「愛着システム」というのですが、これを基盤として、子どもは人間関係を広げ、「人って信頼できる!」という経験を積み重ねていきます。それが、感情制御の基礎となっていくのです。

くっちゃんさんのお子さんは“母親との愛着システムがきちんと形成されている”のです。ただ、問題はその後です。父親をはじめとする信頼できるたくさんの大人との出会いが少なかったのかもしれません。そのため、分離不安(母親との関係が密着関係にあったため、自分と母親を一体のものとして見るために起こる離れることへの不安)が生じてしまっていると考えられます。

身近な人の力を借りよう!
まず、働きかけるのは父親です。仕事が忙しいという理由をつけて、父親は子育てから距離をとる傾向があります(これは、私も同様です。私の自戒を込めてのアドバイスだと思って以下を聞いてください)。

できるだけ、父親との時間をとるようにしてください。中には、父親に預けると、不安だと感じるお母さんも多いと思います。目を離してしまうこともあるかもしれません。ですから、子どもには前もって「お父さんの見える範囲で遊ぶんだよ!」と言い聞かせてください。そして、お任せしちゃいましょう。きっと、お父さんはとまどうに違いありません。しかし、それでいいのです。子育ては思考錯誤の連続なのですから、少しぐらい悩む機会をあげた方が親切というものです。そうした経験を通して、子どもは自分べったりではなく“ちょっと距離感のある見守り”の中で遊ぶことを覚えていきます。

父親でなくても、いいのです。身近な親戚のおじさんやおばさん、お兄さんやお姉さん、場合によっては、近所のお友達だっていいのです。身近な人を思い切って頼って「人間の不思議さや奥深さ」を知っていくことで、遠回りのようですが、少しずつ自立していき、“お母さんがいないと泣く子ども”から脱却していくことができるのです。

また、先生なども頼ってみてください。お母さんが、「人に預けるのは心配」とか「この子は私がいなくちゃダメなんだ!」などと思っていたら、子どもに伝わります。子どもはイヤでも親から離れていくのです。そうした準備をしてあげることが、子育てでもあるのです。

女性が働くことの意味を伝える
大分、女性が働くことが当たり前の社会になってきました。しかし、まだまだです。女性が働くのは自己実現のためです。「自分が社会に必要とされている」「社会の中に自分の居場所がある」という思いは、男女問わず必要です。自分がより輝ける場所を求めて、仕事に打ち込むのは、意味があることだと思います。だからこそ、子どもに“お母さんが働くことの意味”を伝えていくことが大切です。子育てもしっかりやりたいけど、社会で仕事もしたい。人間は、欲張りなのです。私はそれで良いと思います。

ただし、子育ては社会で仕事をすることより低い仕事かというと、そんなことはありません。子どもが3人生まれて、仕事と家庭の両立が難しいと言って、専業主婦になった方を知っていますが、それはそれで充実して生活しています。また、母親の方の賃金が高いので、父親が専業主夫をやっている家庭もあります。

家庭の形は、さまざまになっていますし、それはとても良いことだと思います。だからこそ、フルタイムで働くことを選択したのなら、子どもにきちんと自分が働くことの意味を説明するべきです。また、子育てがしやすい、女性が男性と対等に働ける環境が、もっともっと整ってほしいと思います。

例えば、子育て支援の充実で有名なフィンランドでは、さまざまな育児休暇制度があります。「母親休業」がしっかりと整備されており、産前産後の105日間取ることができ、前半の56日間は給与の90%、その後は70%が保障されます。母親休業に加えて、「親休業」というものもあります。これは、父親か母親、もしくは両方が取ることのできる育児休業です。しかもこの親休業、母親休業とは別に用意されており、勤務日の158日分取ることができ、給与の70〜75%が保障されるのです。さらに父親休業というものもあり勤務日54日分、給与の約70〜75%が保障されており、この父親休業の取得率はなんと約8割なのです。

これから先、子育て支援がどんどん進んでいくことでしょうし、進んでいってほしいと思っています。

 
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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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