小学生ママ

子どもの非認知能力を育てよう

「非認知能力」とは?

2018年2月後半の「放課後職員室」で、「『非認知能力』について近いうちに書きます」とお伝えしていたので、それについて今回は書きたいと思います。

「認知能力」とは皆さんがよく知っているように、IQや学業達成など、学力テスト等で測定可能な能力のことを言います。それに対して、「非認知能力」とは、自制心、勤勉性、外交性、協調性などその他の要素のことを言います。例えば、「興味あることを納得するまで調べてみる」とか「自分からさまざまなことにチャレンジしてみる」などといった能力です。今、海外研究を中心に、多くの研究によって「非認知能力」の重要性が指摘されるようになり、「非認知能力」が、「人間の一生を決める!」とさえ言われるようになっています。

有名な「マシュマロ・テスト」から考える
マシュマロ・テストとは、子ども時代の自制心と将来の社会的成果の関連性を調査した著名な実験です。スタンフォード大学の心理学者、ウォルター・ミシェルが1960年代後半から1970年代前半にかけて実施したもの。マシュマロ・テストと言っても、報酬はマシュマロの代わりにクッキーやプレッツェルが使われることも多くあったそうです。

「自制心」「セルフコントロール」などと呼ばれている「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」が、人の社会における成功に重要であることはよく知られていますが、それを調べる実験として使われたものです。

机の上に皿があり、マシュマロが1個乗っています。そして、大人が「ちょっと用があって出かけるけど、私が戻ってくるまでの15分間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもう1つあげるよ。私がいない間にそれを食べたら、2つ目はなしだよ」と言って部屋を出ていきます。

このテストに参加して、最後まで我慢して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは、1/3ほどでした。そして、追跡調査をした結果、マシュマロを食べずに2個目のマシュマロを手に入れた子どもたちが、周囲からより優秀と評価されていることや、大学進学適性試験で大きな差が生まれていることが分かったのです。

幼少期に非認知能力の高い子の将来は明るい
日本財団が、「家庭の経済格差と子どもの認知・非認知能力格差の関係分析」というレポートを2017年11月に発表しました。これは、就学期の子ども約2.5万人のデータを活用し、認知能力(学力)および非認知能力(自己肯定感、生活習慣、コミュニケーション力など)と、家庭の経済状況との関係の詳細な分析を実施したものです。

まず、マシュマロ・テストの結果が次の表のように分析されていました。


幼少期の「非認知能力」が大きな影響を与えることが、ビッグデータではっきりしたのです。また、子どもの7人に1人が貧困状態と言われている日本社会において、経済状況と学力の相関性がはっきりと見えてきました。貧困状態にあると、学力は低くなる傾向があり、特に小学校4年生(10歳)以降で学力が大きく低下することもデータで示されました。

しかしながら、同時に興味深いデータも示されました。それは、貧困下にあっても学力の高い子どもは、「非認知能力」が高いということです。

知的な子どもに育てるポイントは?
貧困の状態にあっても、学力の高い子どもたちは具体的にどのような面が違っているのでしょうか。学力の高い子どもは、まず「生活習慣や学習習慣が確立している」ということです。起床の習慣、朝御飯をきちんと食べること、自分から宿題をきちんとやることや分からないことを自分から調べるなどのことができているのです。次に、学力の高い子は「思いを伝える力」が高いのです。

こうした力は、子どもとていねいに関わり、子どもの意見を聞きながら、自分の意志で生活や学習の習慣を家庭で決めていくことで育っていきます。ここで強調したいのは、「生活習慣」や「学習習慣」が大切だからといって、親が一方的に決めてしまわないことです。私が何度も言っているように、子どもの意志や考えを尊重しながら、守れることを子どもと一緒に決めていくことが大切なのです。

また、「思いを伝える力」は、親やまわりの大人が子どもの言い分をきちんと聞いてあげることで育ちます。それは、子どもの言い分を何でも聞くということではありません。そんなことをすれば、家庭で「俺様」「女王様」になり、わがままが助長されることになります。例えば、「宿題を自分でやってほしいけど、何時頃までに終わらせられる?」と聞いて、父母の意見と子どもの意見をつきあわせ、「7時までには終わらせる」と決めることです。そして、お互いで決めたのだから「一緒に決めたことだよね」と言って、きちんと守るように親が要求していくことです。

こうしたていねいさが、知的な子どもに育てていくのに必要だということです。また、ノーベル経済学賞を受賞したヘックマンらは、調査の結果、「非認知能力」がその後の「認知能力」の発達を促し、その逆は確認できないと結論付けています。つまり、「非認知能力」の高い子どもは「認知能力(テスト等)」が高くなるが、「認知能力(テスト等)」が高いからといって、「非認知能力」が高いとは言えないということです。

今、子育てで大事なポイントは、子どもの生活習慣や学習習慣を確立し、思いを伝える力などを育てていきながら、「非認知能力」をきちんと育てていくことです。

しかしながら、この力を付けていくのは、なかなか大変です。ゆっくりじっくりと取り組んでください。

 
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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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