小学生ママ

授業中、話せないわが子

授業中意見を求められると、長い間泣き続けます


小学2年生の女の子です。 家族や仲良しの友達といるときは普通なのですが、 授業中、指されたりみんなの前で発表することになると、泣き出してしまい、一度泣くと、長い間泣いていることがしばしばのようです。先日授業参観に行った際もほとんど泣いていました。
1年生の時からそれはあったので、あまり本人に聞かず(聞くと報告することも嫌がるので)年齢とともになくなるかな、と思っていたのですが、2年生でもそんな状態だと親として何か対処した方がいいのではないかと悩んでいます。 ネットなどでも調べると発達障害の一つと記載されていることもあり、親だけでもどこかに通所してトレーニングしていった方がいいのかなと思っています。(ぴょんこさん)
もしかして場面緘黙なのでは…?


171115houkago

家族や仲良しの友達といるときに普通で、授業中に指されたり発表させたりすると、ずっと泣いているというのですから、発達障害というのは考えにくいように思います。それよりも、緘黙症(かんもくしょう)の可能性が高いのではないかと思われます。話さないのではなく、話せないのです。

緘黙症(かんもくしょう)とは、発声器官には問題がなく、言葉を理解したり、言語能力があると分かっている人が、ある特定の場面や状況で話すことができなくなってしまうことを言います。

たとえば、家庭の中で家族とは元気よく話せるのに、幼稚園や学校では無口になり、話すことができなくなってしまうのです。これは、言葉の遅れや、発声障害で話すことができないのではなく、精神的な原因があるのではないかと言われています。

ただの内気や人見知りではありません。本人が話したいと切望している場合がほとんどです。そんな緘黙症の症状ですが、場面緘黙症(選択性緘黙症)と全緘黙症の2種類があります。場面緘黙症の場合、話すことを期待されている特定の場面で、話す言語能力があるにも関わらず話せなくなってしまいます。全緘黙症とは、どの場面でも話せなくなってしまう症状です。

場面緘黙症のある子どもの年齢が低い場合、つきまといやかんしゃく、泣くなどの症状を起こすこともあります。場面緘黙症は、5歳前後で発症することが多いのですが、話す機会が増える学校へ行き始める時期まで、症状が顕在化しないことが多いのです。また、5歳前後だとまだ学校に通っておらず、他人と話す機会がそもそも少ないため、症状が見落とされがちです。また学校に通い始めてからも性格の問題だと片づけられてしまうこともあります。

話すことを焦らせない
話すことは、子どもにとって結構プレッシャーなのです。特に、学校のみんなの前で話すことは、子どもにとっては大きなステップであることを理解してほしいと思います。「子どもは、話す機会を与えられれば話す」とか「指名されたら話す」と思っている方がいるようなのですが、大違いです。

少し前に、ある小学校の2年生のクラスで、7月に「漢字の学習」の授業を担当させてもらいました。担任ではないので、子どものことは全く分かりませんでした。そのクラスの中に、場面緘黙の子どもがいました。漢字ドリルのページは、裏表の構成になっていて、表側には漢字、裏側にはひらがなが書いてあります。表側で漢字を学んだ後、裏側のひらがなを見て、漢字が書けるかどうかを確認していくものです。

漢字を読ませる時にも、その子はほとんど話しません。隣の子は、困ってしまいました。そこで、私はその子をクラス全員の前に立たせてみんなの方を向かせました。そして、肩にそっと手を置き、10個の漢字を読ませていくことにしたのです。クラスの子どもからは、「はっきり!」とか「しゃべれよ!」との言葉がかかります。「静かに! 少し待ってあげて!」と、それらの声を制止してから、漢字を読ませていったのです。

蚊の鳴くような声で、少しずつ読んでいきました。分からない漢字の時には、私が後ろから「○○」と言って教えてあげました。10個の漢字が読み終わった後、びっくりするぐらいの大きな拍手が鳴り響きました。

授業終了後、他の子どもから「お前の声を4月から始めて聞いたよ」とか「言えたじゃん!」などと声をかけられていました。実際、4月から7月までの4カ月、一部のお友達を除いては話していなかったし、みんなの前で話すこともなかったのですから…。

その後、その子はみんなの前で発表できるようになっていきました。

ていねいな手立てで自信を持たせる
この例に見られるように、子どもが話せるようになる雰囲気や大人の側の補助をもとに、話せるようになっていきます。

まずは、ご家庭では「みんなの前で話すことを強要しないこと」「話せないことを叱責しないこと」が大事なポイントです。

家では、少しずつみんなの前で話せるような練習をすると良いかもしれません。家庭での会話と公的な場では言葉の使い方が違うからです。ちょっとした台の上に乗せて、話す練習をしてみると良いと思います。

また、学校では「話せる雰囲気作りとていねいな段階を追った指導」をお願いしていくことで、少しずつ改善していくはずです。

もちろん、子どもが言葉の教室に通うことや、お母さん自身の不安解消のために公的な機関に相談してみるのも良いと思います。

 
【新刊】
新刊「『いじめ・自殺事件』の深層を考える-岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として-」(本の泉社、1620円)発売中。



先生への質問受付中

プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

関連記事

関連記事

キーワード検索

幼稚園関連サイト

  • こどもがまんなかPROJECT
あんふぁんWebは子育てママを応援しています。