小学生ママ

荒れるクラスの根本原因は?

子どもの「荒れ」は、低学年から準備されている

「小1プロブレム」と同様に大きな問題になっているのが、「高学年の荒れ」の問題です。その問題は、実は低学年から用意されていると言っても過言ではありません。なぜなら、子どもの価値観や自尊感情が大きく関わっているからです。

これから紹介するのは高学年の事例ですが、低学年からどのようなことに気を付けて育てればいいのかを考えていただきたいと思います。また、自尊感情を育てることの大切さも考えていただければと思っています。

実際にあったエピソードから見る「荒れ」「いじめ」「不登校」の三連続
教師6年目の男性教諭S先生が、初めての6年生を担任することになりました。この学年は、5年生の時から荒れが目立っていました。授業を聞かないのはもちろん、集団で万引きするなど、次々と問題を起こしていました。

そして、6年生になった子どもたちの行動は、エスカレートしていきました。授業を聞かないだけでなく、授業の妨害をします。暴言や暴力も広がっていきました。S先生は、虚しさと闘いながらも頑張り続けます。しかし、6月になってさらに追い打ちをかける出来事が起きたのです。A君という男の子が不登校になってしまいます。S先生は、A君に「学校に来なくなった理由」をていねいに聴き取りました。

すると、プールの着替えの時に、他の男の子からの「パンツ下ろし」があったことがぽつぽつと語られました。さらに、5年生の時に宿泊学習のお風呂の時に性器の大きさでからかわれ、その後も廊下などで下半身を触られ、からかわれていたことがありました。

また、クラスの男子17名中8名からいじめられていることも語られたのです。

性的な事柄であったこともあり、A君は5年生の時に担任の先生に相談できませんでした。しかし本当は、「いじめられていること」や「下半身のことでからかわれていること」を分かってほしかったのです。

そのことを言えないまま5年生が終わります。そして、「6年生になれば大丈夫だろう」との望みを持って進級したに違いありません。しかし、再度下半身についてのトラブルが起きた時に、「5年生に引き続いて6年生の先生も救ってくれなかった」との思いを持ったのです。それはまさに、教師に対しての信頼を失った瞬間でした。A君はそのことも語ることなく、不登校になります。それがA君の出来る精一杯の行動だったのです。

また、A君の下半身のことを、この男の子たちは、「あいつの性器、でかいんだぜ!」といった具合に、女子に何らかの形でしゃべっていたに違いありません。思春期の子どもにとって、これは必然的に不登校にならざるをえない状況です。

クラスの状況
ここで、クラスの状況を説明したいと思います。男子は17名中8名がいじめと授業妨害をしています。宿題も全くやってきませんし、掃除や給食当番もやりません。残りの9名中6名も、この行為に同調気味です。落ち着いているのは、たったの3名でした。この3名も、実際は「我関せず」といった姿勢です。

女子は20名中3人が宿題をほとんどやってきません。残りの17名はしっかりやっていますが、「自分だけ良ければいい」といった雰囲気だそうです。これらの女の子も、初めは8名の男の子に注意をしていました。しかし、「うるせえな!」とか「おまえは黙ってろよ!」と反発されてしまい、言うことを聞いてくれません。それを見たS先生が、「そうじゃないんじゃないの?」と言うと、「女の子ばかり守りやがって!」と吐き捨てるように言ってきます。こうしたことが続くにつれて、女子は「自分を守ること」を中心にしていきました。

S先生の学年は、体力テスト・学力テストともに、市の平均を大きく下回ります。そのため、「やったってできない」という思いを持っている子が数多くいるのです。いじめをしている男子8名と女子の3名が、特にその思いを強く持っているようでした。

「荒れるクラス」の特徴は、「他者への規範意識の低さ」
荒れているクラスの原因は、「子ども本人の規範意識の低さ」と思われている方が多いと思います。しかし、そうではありません。つい最近の研究で、「通常学級と困難学級の児童自身の規範意識に有意な差が見られなかった」が、「困難学級の児童は、他の児童に対しての規範意識を低く見積もる傾向がある」ということが分かってきました。

つまり、「他者への規範意識が低い」=「周りの人はきまりを守っていないと認識している」ということです。「赤信号、みんなで渡ればこわくない」という状態になっているのです。

実際に、S先生のクラスでは、いじめをしている8人と同調気味の6名を含めた14名の男子が、注意しても聞かないだけでなく、「あいつだってやってるじゃないか」「あいつもクラスのルールを守っていないから、オレも守らない!」と言い返してきます。

荒れているクラスの子どもたちは、「他者への規範意識」が低いのです。こうした、他責タイプの子どもたちに共通することは、自尊感情が低く、「わがまま」「俺様」「お子様」状態になっており、指導が入りにくいことです。

(後編に続く)

 
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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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