小学生ママ

子どもがうまく気持ちを伝えるために

気持ちをうまく言えない子への声がけは?


2年生になった娘は、担任の先生を前にすると、自分の気持ちを伝えたり話したりするのが苦手で、自分が困っていることを言えない時があるみたいです。担任の先生は子供の表情を見て、困った様子の時は声を掛けてはくださるそうなのですが、時折泣いてしまったり、下を向いてうつむいたまま口を閉じてしまうそうです。
お友達とのやり取りでも、何かを伝えたり、話したりが苦手なので、何か良い方法はないかと模索中です。 「紙に気持ちを書いてみたら?」「手紙にして先生に渡してみたら?」と言ってみても、娘の気持ちが乗らず、また絵を描いたりも好きではないので、書く事に期待は薄そうです…。(トリ子)
失敗を恐れないようにさせることが大切


こうしたお子さんは、家では話せるけど、外で他者と話すのが苦手なことが多いのですが、いかがでしょうか。

他人と話すのが苦手な子の場合は、「失敗して笑われたらどうしよう?」という思いが強すぎることが、第一の原因です。家庭や周りの人に「しっかりしなさいよ!」「迷惑をかけないようにしなさい!」などと言われ続けると、失敗を恐れる子どもになってしまいます。

「失敗してもいいのよ。大事なことは、失敗した後どのようにするかということなんだよ」「失敗しないで生きていくことは、人間には無理なのよ。だって、人間は必ず失敗するものね。失敗しないということは、神様になるということよ。あなたは、神様なの? 人間だよね。だから失敗してもいいの!」などと、失敗することをマイナスにとらえさせないようにしてほしいのです。

ヒドゥンメッセージ(hidden message)を受けている子どもたち
また、今の子どもたちは、ヒドゥンメッセージ(hidden message)をより強く受け止める傾向があります。ヒドゥンメッセージとは、その名前の通り、「隠れたメッセージ」のことを言います。

例えば、1年生の例です。図工である女の子に対して「なかなか上手だね」と褒めました。すると、5分後くらいにある男の子が、立ち上がって暴れ出したのです。「ワ~」と叫んでいるので、最初私は、何が起こっているのかわかりませんでした。よく聞いてみると、「増田先生は、Aちゃんばっかりかわいがる!」と言っているのです。

つまり、「Aちゃん、すごいね!」という言葉が表側のメッセージだとすれば、「他の子はダメだね!」というのが裏側のメッセージなのです。「お兄ちゃん、すごいね!」と言うと必ず弟が「ぼくは?」と言うのは、どうしてなのでしょうか。それは「お兄ちゃん、すごいね!」というメッセージは「弟はダメだね!」というメッセージも合わせたメッセージだからです。これを、メッセージの二重性と言います。

よくお母さん方が読む雑誌などに、必ずダイエットの広告が載っているはずです。それは、表側のメッセージとしては、「こうすればやせますよ!」というメッセージなのですが、そのメッセージは同時に「やせていない女性は、魅力のない女性だ!」という裏側のヒドゥンメッセージが発せられているのです。そうしたヒドゥンメッセージをより強く受けるのが今の子どもたちの特徴なのです。

ですから、質問者のお子さんは、ヒドゥンメッセージを強く受けている可能性があります。「失敗してもいいよ!」と言っておきながら「失敗すると怒られる」などと統一感のない接し方をする大人が周りにいると、子どもは失敗することを恐れるようになります。

「また、失敗したの! ダメね~」などと言われると、萎縮してしまいますよね。これは、大人も子どもも一緒です。そうした言葉の裏側を、敏感に感じ取っているのかもしれません。失敗をおおらかに受け止めるようにしていくことが、一番の処方箋です。

一緒に考え、聞いてあげましょう!
自分の気持ちを伝えることは、これからの社会には、とても大事なことになります。ですから、困ったことがあったら、まずは紙に書かせます。困ったことがよく分からない時には、一緒に考えてあげてください。その後、それをおうちの人が聞いてあげてほしいのです。慣れてきたら、紙を見ないで言えるようにします。自分の言葉で語るのは、1年生には意外と難しいものなのです。

そうした自分の言葉で言える練習を家でさせてから、学校で言わせるようにしてください。その練習を、ていねいに何度も繰り返しましょう。

その後は、紙に書かないで言うようにする練習です。これも、反復練習させてください。

人間は、基本的には努力しないで身に付く能力はありません。大きくなれば、自然に言えるようになるわけではありませんし、「気持ちを言いなさい!」と説教してもだめなのです。自分の気持ちを伝える能力を育てるのにも、練習が必要なのです。

「問い」と「答え」の間(ま)を豊かに

例えば、テストなどでは、正確に早くできることが求められます。それができるためには、問われたことに対してできるだけ最短の道で答えを出す必要があります。それは、できるだけ「問い」と「答え」の間(ま)を短くすることになります。しかし、実は学びの豊かさは、「問い」と「答え」の間にあるのです。こうした訓練を、小さい時からされた子どもは、「すばやくできること」が一番の価値観になり、遅い人間を許すことができなくなります。それは、社会性に大きなマイナスを与える危険性があるのです。

テストで間違えていたら、どうして間違えたのかを一緒に考えてみてくださいね。意外と、間違いの中に面白さがあるのです。

少し前に、5年生のクラスで社会科の「自動車工場の仕事」の授業をやりました。テストを最後にしたのですが、その裏面のテストに「自動車づくりだと、これからの工業生産では、どんな開発が大切ですか。ニーズということばを使って書きましょう。」という問題がありました。正解は、「社会や消費者のニーズを考えて商品づくりをする」ですが、ある子どもが「ジャニーズと協力して車をつくる。」と書いてきました、私は大笑いしてしまいました。正解ではないですが、こうした子どもの面白さは大事ですよね。そんな子どものおもしろさを共有できる大人でいたいものです。

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プロフィール

増田修治先生

増田修治先生 
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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