ママライフ

ヘアドネーションって知っている? 男の子が髪の毛を寄付してみた

大人と子どもでは異なるウィッグ事情

筆者は6年前、乳がんと診断され、抗がん剤治療を開始。ほどなくして体中の毛という毛がすべて抜けて、文字通りつるっぱげ(笑)になった経験があります。その際、毎日お世話になったのがウィッグ。通信販売でコスプレ用のカラフルなものをたくさん買いそろえ、気分や服装によって毎日いろいろな髪型を楽しみました。なにしろ1つ3000円程度と、とてもお安いので。ズラだとわかっても、多くの人はファッションだと思うようで、特になにか言われることはありませんでした。

ピンクや緑のファンキーなウィッグをかぶって抗がん剤の点滴を受けに行くと、同じケモテラピー(抗がん剤治療)センターで小さな子どもに会うことがありました。彼らはもちろん、私と同じつるっぱげ。ですが、彼らの多くは、ウィッグをかぶっていない。なぜなら、大人用と違い、子どもの頭のサイズに合ったウィッグは量産されていないし、とりわけ自然に見える人毛で作られたものはとても高価で、1つが20万円近くするのもざらなのです。抗がん剤治療の場合だけで考えれば、ウィッグが必要なのは髪が生えそろうまでの1年ちょっとの間だけ。少しの期間だから、我慢しようか…と子どもに言い聞かせることもあるのかもしれません。大人と子どもではだいぶ状況が違うのだな、と感じました。

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ケモ治療中だったころの海外取材時。毎日ウィッグを変えて、このご機嫌の笑顔。ウィッグはがん患者の気分を明るくしてくれる(写真撮影:織田桂子)

ウィッグ制作のための寄付

がん治療だけではなく事故やほかの病気で髪の毛を失う子どもは少なくありません。そんな子どもたちに手を差し伸べるのが、「ヘアドネーション(髪の毛の寄付)」です。日本では「Japan Hair Donation & Charity(JHD&C)」というNPO団体が寄付を受け付けており、切った状態で31㎝以上の長さのある髪の毛を同団体に送ると、それをウィッグが必要な子どもたちそれぞれにカスタマイズ(好みの髪型や髪の色に)された人毛のウィッグに仕立ててプレゼントしています。かつらの材料となる人毛を寄付することで、彼らの活動を支えることになります。

男の子がドネーションにトライしたお話

筆者の友人に、横浜市に住むTOMOくんがいます。彼は7歳のときお母さんから、友達のためにヘアドネーションを行ったアメリカの男の子の話を聞いて、「僕もやる!」と言いだしました。特に誰か特定の人に、というのでもなく、「困っている子がいるのなら」という程度の気持ちだったのでは、とお母さんは言います。ただ、髪を伸ばし始めると、通っていた塾の先生やまわりの人々から「髪を切れば?」という反応があり、また、クラスの男子からも「女みたい」「女子トイレに行けよ」とからかわれるように。「男のくせに、なぜ髪が長いのか?」という質問は何度となくされたのだそう。その都度、TOMOくんは「あれ? 前に理由を言わなかったっけ?」とするり。友達もそのうち慣れたのか、何も言わなくなったようです。

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だいぶ髪が伸びてきたTOMOくん(左)。女の子に間違われることも多く、たまには「女の子じゃない!」とプリプリ怒ることもあったものの、「自分で決めたことだから」と我慢

長さが足りなくても大丈夫

そうして約3年、TOMOくんの髪はすでにだいぶ長くなり、ドネーションをする時期がきたと判断。近所の美容院で髪を切ってもらいました。
たまたまその美容院がJHD&Cの活動に賛同していたため、予約時にドネーションしたい旨を伝えただけで、散髪から寄付まですべて美容院でしてくれました。賛同美容院は同NPOのウェブサイトで調べることができます。賛同美容院でなくとも、ドネーション用には切る前にいくつかに分けてバラバラにならないよう束にしておくこと、切った髪は31㎝以上必要であること、などを伝えることで対応してくれる美容院も多いので、まずは相談してみるといいかもしれません。
TOMOくんは男の子なので、ばっつり切ることができたこともあり、なんと41㎝を寄付することができました。
ちなみに、筆者の娘も夏休みの臨海学校参加の際に、自分で髪をしばることができないという理由から、髪を切ることにしました。バレエの発表会を12月にひかえているため、ある程度の長さを残したかったこともあり、肩につくくらいの長さに切ってもらったところ、残念ながら25㎝しかありませんでした。それでも、JHD&Cではかつらは作れないものの、ほかの方法で利用が可能とのことで受け付けてくれるそう。長さは足りませんでしたが寄付することにしました。

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切る前に小分けにして束ねておく。ドネーションの場合はひと手間かかるため、美容師さんに事前に相談しよう。NPOのウェブサイトに手順も載っています

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切った髪は提携美容院を経由してNPOに送ってもらうことも可能。自分で送ったり、どのように使われたかある程度追跡することもできるそう(写真:TOMOくんのお母さん提供)

髪を切った後のTOMOくんとまわりの反応は

髪を切ったのがちょうど夏休み中だったこともあり、実はTOMOくん、新学期が始まったあとのクラスの友達の反応が気になっていました。なにしろ、ロンゲだった約3年の間、かなりからかわれた様子。お母さんにそのことをグチったことはなかったそうですが、夏休み中、近所で友達とすれ違っても気づかれないことも多かったことから、友達にどう言われるかを気にしていたといいます。
学校が始まり、ふたを開けてみれば友達の反応は良好。「かっこいいじゃん」「まじめそう」、そして「なんで急に切ったの?」。そこでTOMOくんは、友達にヘアドネーションのことを改めて説明しました。「病気で薬を使って髪がなくなったりした子に、僕の髪をあげたんだよ」。それだけの説明でしたが、友達は「すごいじゃん! そうだったんだね」と、わかってくれたのだそう。TOMOくんは「また伸ばすよ。だって、困っている子はまだまだたくさんいるんでしょう?」と張り切っています。どんなにからかわれてもくじけずに寄付することができたことが、自信にもつながったようです。
男の子にはちょっとハードルが高いかもしれないヘアドネーション。とはいえ、病気などで髪を失う子がいるということ、そして子どもの自分にもできることがある、ということを知ることができただけでも、いい経験です。なによりも、自ら「誰かをサポートしたい」という気持ちをもち、自分で決めたことを最後までやり通すということにとても大きな意義を感じました。

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頭が軽くなった!と喜ぶTOMOくん。41㎝もの髪の毛を寄付。からかわれながらも信念を貫き通した、すっきりした顔。よくがんばったね!(写真:TOMOくんのお母さん提供)

※ドネーションは年齢、性別、人種にかかわらず誰でもできます。
パーマがかかっていても、染めてあってもかまいません。
ただ、ちょっと引っ張ったくらいでは切れない程度の強度があること、カビや雑菌の繁殖を防ぐため、完全に乾いていることを確認してください。

<文・写真(特記以外):フリーランス記者 岩佐 史絵>

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