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滑舌が悪い息子、正しい発音の教え方は?

心理臨床家、専門行動療法士、臨床心理士の奥田健次先生が、子育てのお悩みを「行動」に焦点を当ててアドバイスします。

先生への質問

滑舌が悪くて「か行」が「た行」と同じなのです。 一生懸命、教えているのですが、効果がありません。 正しい発音の教え方等、教えてください。(4歳・男子)

爆裂回答

基本的には「教えないこと」つまり「矯正しようとしないこと」が答えとなります。

世間一般では「滑舌が悪い」と言いますが、専門的には「構音の問題」と考えます。咽頭から口唇、鼻孔までの呼気の通路を様々に変化させて言語音にすることです。簡単に言えば、言語音を出すための『運動』と考えてもらって構いません。

運動と考えると、答えは簡単ですね。つまり、皆さんが通常考える運動(走ったり、泳いだり、リズムに合わせて踊ったり、球技だったり)には、個人差があるのはお分かりいただけると思います。そうすると、当然ですが構音にも個人差があります。

走るスピードが他の子よりも遅いことを、それほど強く非難する親は少ないと思います。なんとなく「この子はちょっと足の速さはそれほどでもないな」と、その子の特性として意識するくらいでしょう。

構音の場合は、何せ口の中の微弱な運動動作ですからね。しかも別の音に聞こえてしまうために、ついつい直したくなるお気持ちも分かります。それで実際、臨床の現場では、幼児期に子どもの発音が不十分だから猛特訓をしたために、子どもが吃音(どもってしまうこと)になったという事例は、昔からよくあることなのです。

運動の発達には、ある程度の時間がかかるので、おおらかな心構えでいて下さい。吃音を直す方が、専門機関に通院するなどが必要となり、よほど手間がかかりますから。

ただ、5歳くらいになって気になるようであれば構音訓練を専門機関で開始するのも良いことです。5歳になるまでは(多少の発音の悪いのは目をつぶってあげて)、子どもが安心して話したいことを話すほうを優先すべきです。

とはいえ、それまで何もせずにというのは不安でしょうから、家でも取り組めることを紹介します。基本は遊びです。果物とか魚の形に切り取った小さな紙切れをストローで吸って、箱から箱へと移す遊びとか。ストローを咥えてピンポン球を転がす遊びとか。怪獣や蛇のモノマネで、舌を出して動かすとか。舌や口の体操と思って、遊びの中でどんどん動かすようにするのです。ネットで『構音+遊び』などと検索するとヒントがたくさん出てきますよ。

訓練だと思って、厳しくやると良くないので、あくまで子どもにとって親が十分に遊んでくれているとしか思えないような快適な関わりを目指します(訓練を受けているということに気づかせないように)。

すぐに変わらないことを教え込もうとして、イライラすることで親子関係が悪くなるのを防ぎたいものです。こういうことは時間がかかるのだと考えて、じっくり楽しんでいく長期戦略のほうが一石二鳥以上になりますから、ぜひたくさん遊んでみて下さいね。

爆裂回答にならず、真面目すぎる回答となってしまったことを、ここに慎んで読者の皆さまにお詫び申し上げます。誠に遺憾であり、このようなことが二度と起こらないよう、筆者として改めて強く決意し・・・。え、文字数オーバー? 失礼しました。

 
【参考図書】

『メリットの法則 –行動分析学・実践編』(集英社新書)
『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』(大和書房)
『世界に1つだけの子育ての教科書- 子育ての失敗を100%取り戻す方法 -』(ダイヤモンド社)

 
【新刊のご案内1】

新しい漫画『マンガ 奥田健次の出張カウンセリング – 自閉症の家族支援物語』が出版されました。

 
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ケイト・コーエン・ポージーの本を翻訳出版しました。『いじめられっ子の流儀:知恵を使ったいじめっ子への対処法』(学苑社)です。すべて子育てをしておられる親御さんが知っておくべき考え方が、たくさん紹介されています。

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プロフィール

奥田健次あんふぁんサポーター

奥田健次

専門行動療法士、臨床心理士。発達につまずきのある子とその家族への指導のために、全国各地からの支援要請に応えている心理臨床家。世界各地から招かれる国際的セラピストである。行動上のあらゆる問題を解決に導くための洗練された技術と、子ども一人ひとりに合わせて完全にオーダーメイド化された奇抜でユニークなアイデア、指導プログラムの緻密さについて、国内外の関係者から絶賛されている。1999年・内山記念賞(日本行動療法学会)、2003年・日本教育実践学会研究奨励賞、2008年・第4回日本行動分析学会学会賞(論文賞)を受賞し、行動科学系の二大学会で初のダブル受賞者となった。
日本行動分析学会常任理事。日本子ども健康科学会理事。桜花学園大学准教授などを経て、2012年4月より行動コーチングアカデミー代表/学校長として浅間山のふもと、西軽井沢に移住。子ども、高齢者、動物らと共に高原での自給自足的生活を目指した試行錯誤を繰り広げている。桜花学園大学大学院客員教授等を兼任。現在、長野県に新しい私立幼稚園(行動分析学を用いたインクルーシブ幼稚園)を設立するために精力的に全国的な活動をしている。
著書に「子育てプリンシプル」(一ツ橋書店)、「叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本」(大和書房)、「メリットの法則 行動分析学・実践編」(集英社)、「拝啓、アスペルガー先生 ―私の支援記録より」(飛鳥新社)などがある。
http://www.diamondblog.jp/kenjiokuda/

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