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ひとりで遊んだ方が楽しいという息子、本人の意思を尊重してもいいの?

心理臨床家、専門行動療法士、臨床心理士の奥田健次先生が、子育てのお悩みを「行動」に焦点を当ててアドバイスします。

先生への質問

お友達と遊ぶと自分の思うように遊べないから「ひとりで遊んだ方が楽しくていい!」という息子。本人の意思を尊重すべきでしょうか? それとも、仲間と過ごすことが大事になってくるので将来のことを考えて無理にでもお友達と遊ばせるようにすべきなのでしょうか?(5歳・男子)

爆裂回答

極端やね! こうした質問はかなり多いです。まあ、見た目やら言い方は私のほうが極端に思われてしまうのですけれども。思考が極端に走ってしまうことは、かなりの親御さんにみられることです。

ここでは「本人の意思を尊重する」か「無理に強いる」かのどちらか、という極端な思考がみられます。

この場合は、当然どちらもよろしくありません。「本人の意思を尊重することが大事」というのは、誰に教えてもらったのですか? 教育学者や保育経験者は、こういうことを言う人は結構いますね。でも、こういう「耳にやさしい言葉」を無条件に鵜呑みにしてはいけません。

以下の例を考えてもらえれば納得していただけると思います。被災して避難所暮らしをする際に「ここは嫌だ!」という本人の意思を尊重できませんよね? 憎い友達を「傷つけてやる」という青年の意思を尊重しているようであれば、世の中、殺傷事件だらけになってしまいます(まあ、残念ながらそういう世の中に実際のところなっているでしょう?)。

本人の意思を尊重することは無条件に受け入れてよいものではありません。自分の画用紙にライオンの絵を描く際、「どうしてもお尻から描きたい!」という本人の意思くらいなら尊重してあげられるでしょう。

次に「無理に強いる」ことについて考えてみましょう。上の例でいけば、お尻からライオンを描いてみたいという本人の気持ちに対して「頭から描きなさい!」と無理強いする必要は、あまり感じられません。何か重大な問題が起きるものでなければ、本人の意思を尊重できるでしょう。でも、どうしても受けなければならない病院での治療などが生じた場合、本人の意に反してでも受けさせることはあるでしょう?

私がアドバイスしていることは「子育てにはもっと色々なカード(切り札)がありますよ」ということです。子どもの意思を尊重して何でも子どもの言いなりになるのでもなく、子どもを頭ごなしに叱りつけて無理強いするでもない方法。そういうのが色々とあるのです。

一例をあげましょう。子育てのヒントにして下さい。

「方向づける」とか「促す」というのは、無理強いではありません。親は大人なので、子どもの将来にとって必要なことが分かっているはずです。なので、子どもの苦手を克服するためにお手伝いをするのです。「一緒にAくんと遊びなさい!」というのは方向づけではなく命令や強制(無理強い)です。そうではなく、一緒に遊ぶことの楽しさを十分に体験できるようになるまで、大人が子ども同士の遊びの中に入るのです。親が子どもたちと遊ぶのが苦手な場合、間接的な方法になってしまいますが、友達と遊んだ帰りにのみ、子どもの好きな活動(例:スーパーのゲームコーナーで遊ぶ、クレープやアイスを食べるなど)を与えます。時間はかかるかもしれませんが、そうやって友達と遊ぶことを無理強いもせずに間接的に方向づけていくことで、友達と遊ぶこと自体が楽しみになってきます。それか、私みたいに子どもの頃から大人と話すことのほうを楽しむ少数派になる可能性もありますが、いずれにせよ他者との社会的関係からの楽しみは十分に体験してきた結果です。

「説明」や「説得」、あるいは「強制」や「命令」は、忙しい大人のやりがちな方法なのですが、子どもが苦手を克服していけるようにするためには、それなりの手間暇が必要ということです。他にも似たような例はたくさんありますので、拙著『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』などを参考にして下さい。

 
【参考図書】

『メリットの法則 –行動分析学・実践編』(集英社新書)
『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』(大和書房)
『世界に1つだけの子育ての教科書- 子育ての失敗を100%取り戻す方法 -』(ダイヤモンド社)

 
【新刊のご案内】

ケイト・コーエン・ポージーの本を翻訳出版しました。『いじめられっ子の流儀:知恵を使ったいじめっ子への対処法』(学苑社)です。すべて子育てをしておられる親御さんが知っておくべき考え方が、たくさん紹介されています。「いじめられっ子」が苦しめられたまま放置されるのではなく、「知恵」という新しい力を得ることができるでしょう。職場や親子の人間関係の構築にも役立つと好評です。

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プロフィール

奥田健次あんふぁんサポーター

奥田健次

専門行動療法士、臨床心理士。発達につまずきのある子とその家族への指導のために、全国各地からの支援要請に応えている心理臨床家。世界各地から招かれる国際的セラピストである。行動上のあらゆる問題を解決に導くための洗練された技術と、子ども一人ひとりに合わせて完全にオーダーメイド化された奇抜でユニークなアイデア、指導プログラムの緻密さについて、国内外の関係者から絶賛されている。1999年・内山記念賞(日本行動療法学会)、2003年・日本教育実践学会研究奨励賞、2008年・第4回日本行動分析学会学会賞(論文賞)を受賞し、行動科学系の二大学会で初のダブル受賞者となった。
日本行動分析学会常任理事。日本子ども健康科学会理事。桜花学園大学准教授などを経て、2012年4月より行動コーチングアカデミー代表/学校長として浅間山のふもと、西軽井沢に移住。子ども、高齢者、動物らと共に高原での自給自足的生活を目指した試行錯誤を繰り広げている。桜花学園大学大学院客員教授等を兼任。現在、長野県に新しい私立幼稚園(行動分析学を用いたインクルーシブ幼稚園)を設立するために精力的に全国的な活動をしている。
著書に「子育てプリンシプル」(一ツ橋書店)、「叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本」(大和書房)、「メリットの法則 行動分析学・実践編」(集英社)、「拝啓、アスペルガー先生 ―私の支援記録より」(飛鳥新社)などがある。
http://www.diamondblog.jp/kenjiokuda/

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